MACでAozoraEpub3.jarが動かなかった件

AozoraEpub3

前の記事で青空文庫のコンテンツをKindle形式に変換するツールのAozoraEpub3.jarが動かないと言う報告をした。AozoraEpub3.jarをダブルクリックしてもエラーがでてしまう。
これについてJavaが存在せず、またインストールできないと言うところに原因を求めてしまった。確かにWIN10の方はJavaが存在していなかったし、上手くインストールできていなかった。(しかし後日インストールできた)このMacも初期化をしたし、OSのバージョンアップもしたのでそれが原因と考えていていた。しかしそれは間違っていた。Javaは存在していたがpathが通っていなかったのだ。

ターミナルで
$ /Library/Internet\ Plug-Ins/JavaAppletPlugin.plugin/Contents/Home/bin/java -version
とコマンドすると
java version “1.8.0_281”
Java(TM) SE Runtime Environment (build 1.8.0_281-b09)
Java HotSpot(TM) 64-Bit Server VM (build 25.281-b09, mixed mode)
と返ってきて確かに存在していた。

そこでコマンドラインでAozoraEpub3.jarがあるところに行った上で
$ /Library/Internet\ Plug-Ins/JavaAppletPlugin.plugin/Contents/Home/bin/java -jar AozoraEpub3.jar
とすると、動きました。

AozoraEpub3
AozoraEpub3が動いた

あとは起動しやすいようにJavaのpathを通しておけば良い。それには環境変数の設定が必要。
しかし、これはインストールというか、展開したところがダウンロードフォルダだったからいけないので、アプリケーションフォルダに移せばなんのことはないパスは通っていた。

なおwin10でもjavaがインストールできれば動く。以下からダウンロードでき、インストールできる。こちらはすぐにパスが通るので、そのままjarファイルをダブルクリックすれば起動できる。

https://www.oracle.com/java/technologies/javase-downloads.html

参考までに。

追記

このままだとKindle形式に出力できない。以前書いた記事にもあるように、kindlegenというツールをAozoraEpub3.jarがあるところに入れなくてならない。ところがこのツールが現在ネット上のどこにもない。これはAmazonがリリースしていたのだが、現在はKIndlePreviewerというツールに統一されているため、ここから取り出さなくてはならない。取り出し方はMacの場合やや厄介だ。KIndlePreviewerをインストールしたら、そのアプリフォルダのKIndlePreviewer上で右クリックして、「パッケージ内容を表示」を選択して、Contents上で検索窓にkindleと打つ。そうするとkindlegenが現れるので、これをコピーして、AozoraEpub3.jarがあるところにペーストする。

 

 

 

ScanSnapをもう一度やってみた。今度はOCRを中心に。

ScanSnapを実行

ScanSnapをUSB接続した上でScanSnapHomeを起動
Scanをクリックして、スキャン画面を出し、左下の二つの丸ボタンから
カラーモードを「白黒」に、画質を「ファイン」に設定

ScanSnapHomeを起動
ScanSnapHomeを起動

原稿(16ページ8枚)を下向き、若いページが下にくる形でセットして、
(下からスキャンされるので)
本体の四角い青くなったScanボタンを押す。

Scanボタンを押す
Scanボタンを押す

30秒ぐらいでスキャン終了し、保存画面が現れる。「ファイン」でも「白黒」だと速いようだ。

保存画面が現れる
保存画面が現れる

(この場合保存場所をデスクトップ等に変えておくとよい。)

OCRを実行1

保存をしたら、今回はまずScanSnapHomeに付属するアプリでOCRを実行してみる。
付属のABYYFineReaderというツールだ。
ScanSnapHomeから保存された文書の上で右クリックし、
「アプリケーション連携」から「Word文書に変換」を選択

アプリケーション連携
アプリケーション連携

変換中の画面が現れて(もしくはタクスバーに)

変換中の画面
変換中の画面

変換が終了すると同じファイル名.docxで保存される。
品質は以下の画像だ

ファイル名.docxで保存
ファイル名.docxで保存

思ったよりうまく認識できている。
レイアウトも同時に認識している。

OCRを実行2

今度はGoogleで変換してみる。
Google Chromeを起動して、右上のGoogleアプリボタンから「ドライブ」を選択
「マイドライブ」で右クリック、「ファイルをアップロード」を選択

ファイルをアップロード
ファイルをアップロード

保存されたPDFファイルを指定する。
(保存場所を変更していない場合は C:\Users\(今ログインしているユーザー名)\AppData\Roaming\PFU\ScanSnap Home\ScanSnap Home にある。(しかもデフォルトでは隠しフォルダになっている可能性があるので注意))
次にアップロードされたファイルの上で右クリック、「アプリで開く」から「Googleドキュメント」を選択

「Googleドキュメント」を選択
「Googleドキュメント」を選択

しばらくして現れた画面で上の「ファイル」から「ダウンロード」から「書式なしテキスト(.txt)」を選択

「書式なしテキスト(.txt)」を選択
「書式なしテキスト(.txt)」を選択

それをエディタで表示する

エディタで表示
エディタで表示

ここで校正してもいいのだが、これを今度はWordに貼り付ける
エディタですべて選択し、コピーし、Wordを起動して新規文書を作成し、貼り付ける。

Wordに貼り付け
Wordに貼り付け

文書の校正

この文書の変換上の特徴を把握する。
①奇数ページ上段余白にある横書きタイトル名も認識している。
②半角スペースがところどころに入る。
③改ページのところで改行が入る。
まずここを置換機能を使って校正しておく。エディタ上でやるといい。
そのうえでwordの校正機能を使う。
ここはあまりこだわらずに自分の文章感覚で校正すればいい。
というのはwordの校正機能は絶対ではないからだ。
ここまで来たら縦書きにしてみよう。

wordの校正機能
wordの校正機能

Kindleにアップ

ではこのワードのファイルをKindleにアップしてみる。
添付ファイルで自分のアマゾンKindleのアドレスに送る。
ただ、このままだと縦書きにしたはずのファイルがKindle専用機で横表示になっている。
しかし、文字の拡大等はできるようになっていて、PDFそのままより圧倒的に見やすくはなっている。

Kindle専用機で横表示
Kindle専用機で横表示

しかし、縦書き表示にしたいのでwordファイルではなく、電子ブック形式にしてみる。これについてはかつて記事に書いたことがある。
(リンク)
しかし、これは青空文庫の話なので、別の方法を模索した。
まずは縦書きのワードのファイルを電子ブック形式にする。
今回はWIN上でフリーソフトを使い、取りあえすepub形式のファイルに変換した。
(実はMacであればPagesを使えばepub形式に出力できるが、これも縦書きにするにはかなり手間がかかる。これについては別途書く予定がある。)
それをアマゾン本家のKindle Previewerを使ってKindle形式にさらに変換する。
Kindle PreviewerをDLして、導入し、そこにePubファイルを読み込ませた上で、mobi形式でエクスポートする。
それをアマゾンにメールでアップする。
こうすればKindle専用機で縦書きで表示される。

Kindle専用機で縦書き
Kindle専用機で縦書き

今日はここまで。

久しぶりにScanSnapを使う

WIN10上でのScanSnap

デスクトップを遅ればせながらWIN10に変えたので、ScanSnapを使えるようにした。
ScanSnapはエントリーモデルのS1300i。ScanSnapのアプリを変更。その当初も一応使えるようにしたのだが、ScanSnapManagerをScanSnapHomeに変える。富士通のサイトから導入できる。ただし、古いManagerはアンインストールする必要がある。使ってみると、こちらの方が使い勝手がいい。
一枚のペーパーならなんの問題もないことは確認済み。

古い新書、文庫本を自炊

文庫本と新書本
対象の文庫本と新書本
背をカットしたところ
表紙を剥がし、背をカットしたところ

実際にスキャンをやってみることに。
新書は224ページ112枚、文庫は168ページ84枚。
新書は遠山啓の『数学入門』1970年版、ちなみに初版は1959年に発行。大学入学後に購入した。国文学専攻なのに数学?実は高校時代の低学年までは得意科目は数学でした。この本にもっと前に出会っていれば、数学を専攻していたかも。でも物にはならなかったけど。勿論国文学も物にはなっていませんが。それはともかくこの本は名著です。しかももう一度読み返したいし、孫にも与えたい本だ。しかし、新書本と言うこともあり、かなり老朽化していた。新書は簡易製本なので、もはやバラバラになる状態。まさに電子化するに適した材料ということ。もう一つは横書きで図や数式等が入っているというのも選んだ理由。
もう一つの文庫は伊藤整の『近代日本人の発想の諸形式』1986年版、初版は1981年。これはさほど古くもなく、本自体も老朽化していないが、文字が詰まっていて、振り仮名も多く、字も小さいので、こういう文庫を電子化し、電子ブックで読めたらいいということで選んだ。老朽化していないが、思いっきりカッターで背の部分5ミリぐらいのところで切断した。

スキャンの実際

自動モードで新書をスキャン。実に早い。両面スキャンなので100枚以上あるけど、20枚づつセットして(ちなみに10枚が限度と言われているが紙が薄いので大丈夫)、1分12枚両面24ページいけるということだが、実際には15分ぐらいで(紙の入れ替えを含め)、全ページスキャンできた。しかも、自動でPDFになっているので便利だ。
文庫の方は自動だと遅いモードになってしまった。これは文庫のページをScanSnapが詳細と判断したか、紙が黄色味を帯びているということもあるのか、ファインモードになったようだ。あまりに遅いと感じたので、モードを自動ではなく、普通に変えると早くなった。ほぼ全ページ10分程度でPDF化できた。

スキャン中
実際にスキャンしているところ

KindleでPDFを読む

目的はここにあるので早速やってみることにする。まずはKindle-paperwhiteで読めるようにしたい。それには二つの方法がある。一つはKindle-paperwhiteをusbでPCに繋ぎ、直接本体にPDFファイルを転送する方法。もう一つは自分のアマゾンのKindle用アドレスにメールの添付ファイルで送る方法だ。後者の方法はいわゆるアマゾンのクラウドに置けるので、いろいろな端末から見ることができるのでいいのだが、ファイルが大きいと添付ファイルで送れないという難点がある。しかも、高速でスキャンしたPDFはKindle-paperwhiteで読むのは現実的ではない。やはりしっかりしたテキストでないと読みづらい。
そこで、こうしたPDFはパッドで読むのがいい。iPadminiのKindleアプリで表示したのが、この画像だ。(画像の上でクリックすると拡大表示します。)

新書本のPDF
新書本のPDF
文庫本のPDF
文庫本のPDF

OCRについて

さて、PDFをテキスト化することについて触れておく。PDF化は簡単にできるが、これをテキスト化できれば、いろいろな形に変換できて、Kindle-paperwhiteでも文字を大きくしたり、色々できて、いうことがないのだが、これがそう簡単にはいかない。色々試してみたが結論から言うと、PDFのテキスト化はgoogleドライブのドキュメントに限ると言うことだ。そのためにはPDFの品質に問題があるのだが、今回の場合、スピードスキャンしたものは上手くいかなかった。上の画像にあるようなPDFは認識すらしてくれない。しかし、文庫で最初にファインモードでスキャンしたPDFはかなりの精度でテキスト化してくれた。その方法を以下に記しておく。

  1. googledriveにアクセスし、マイドライブで右クリック、ファイル(用意したPDF)をアップロードする。
  2. そのファイルを右クリック、「アプリで開く」から「ドキュメント」を選択する。
  3. 上メニューの「ファイル」から「ダウンロード」を選び、「書式なしテキスト(.txt)」を選ぶ。

以上でダウンロードフォルダに同じ名前のテキストファイルが入る。

これはテキストばかりかワードファイルやPDF、電子ブックファイルなどに変えてくれる。しかし、一旦テキストに落としてエラーや誤変換がないか確認が必要だ。
長くなったが、以上です。
2021.01.30

日本古典文学総復習続編2『古事記』その2

今回は古事記の中身について触れなければならない。
古事記は古代日本の歴史について、天皇家の立場で書かれたものだが、後の正式な歴史書、例えば『日本書紀』と違って、歴史的に公式に評価されなかった歴史書である点が注目される。また、決して大部なものではなく、原文のままだと小冊子と言っていいほどのものである点も注目される。この古典集成本でも本文はたかだか280ページにも満たないものだ。これが上中下3巻に分たれている。ただその物語性ゆえに現代においても愛読される書だ。内容をざっと見ておこう。
上巻は序から始まって、創世の神々の話から、イザナギ・イザナミの国産みや人間の生死の起源の話、天照大神と須佐之男命の話、大国主命の話を経て、天孫降臨へと続く。
中巻は、神武天皇から応神天皇までの15代。
下巻は、仁徳天皇から推古天皇までで終わっている。

この中で古事記が最も面白いのはやはり上巻である。古事記について語られるのもこの部分が多いと思う。なぜならこの部分は日本の天皇制が確立するまでの過程を物語るものだからだ。ここにある様々な神話を読み解くと、如何にして天皇制が確立していったかが窺えるからだ。例えば、先に引いたスサノオの命の話にしても、出雲と大和朝廷との関係を窺わせるし、その他の様々なエピソードにしても、各地にあった伝承を如何に取り込んでいったが窺える。こうした点から古事記について語られる時上巻が多く取り上げられる。

しかし、中巻以降にも様々なエピソードが散りばめられている。中巻以降の各天皇の記述も、皇統譜と言って各天皇の来歴や事跡が羅列されている部分以外にはさまざまな話があって、後の世にも興味を引いた物語はある。
中巻では神武天皇の東征の物語、景行天皇の倭健命の物語は特に有名だ。他にも垂仁天皇の沙本ひめの反逆の話、仲哀天皇の神功皇后の話、などがある。
下巻では仁徳天皇の女鳥王と速総別王の反逆の話、允恭天皇の軽太子の話、雄略天皇の一言主神の話などだ。
こう観てくると、古事記は天皇家の歴史を軸に、当時まで伝えられたさまざまな伝承・説話をそこに絡めて形作られていることがわかる。これは、古事記にある伝承・説話は元々は独立して存在していたものであったとも言える。

もう一つ内容的に注目されるのは、古事記には多くの歌謡と言われる「和歌」が挿入されているということだ。いわゆる記紀歌謡と言われるものだ。これは万葉集に先行する日本古代の「和歌」である。しかもこれらの「和歌(歌謡)」はほとんどが、伝承・説話の中で引用されている点も注目される。この記紀歌謡は古事記に限っても百首以上ある。それが約三十の挿話の中で紹介されている。そのほんの一例を紹介しておく。

下巻、仁徳天皇の部分の女鳥王と速総別王(はやぶさわけのおほきみ)の話に以下の歌謡が登場する。

女鳥の わが王(おおきみ)の 織ろす服(はた)
誰(た)が料(たね)ろかも

高行くや 速総別の 御襲料(みおすいがね)

雲雀(ひばり)は 天(あめ)に翔(かけ)る
高行くや 速総別 鷦鷯(さざき)取らさね

はしたての 倉椅山(くらはしやま)を
嶮(さが)しみと 岩懸(か)きかねて わが手取らすも

はしたての 倉椅山は
嶮しけど 妹と登れば 嶮しくもあらず

()内は古典集成本のふりがな

この一連の歌謡は仁徳天皇とその弟速総別王との女鳥王をめぐる確執と謀反、そしてその滅亡の話の中で引用されている。仁徳天皇が女鳥王を嫁にしたいと弟の速総別王を女鳥王のところに遣わす。ところが女鳥王は仁徳天皇の申し出を断って、こともあろうか使者の速総別王と結ばれてしまう。それに怒った仁徳天皇はこの二人を責め立て倉椅山に追い詰めて滅ぼしてしまうというお話だ。この話は田辺聖子さんの小説で苞に有名となり、宝塚でも上演されたという。

では歌謡の内容を見ておこう。
初めの二首は天皇と女鳥王とのやりとりだ。「あなたが織っている布は誰の服を作るためですか」と天皇が問う。それに対して「これは素敵な速総別王の服のためです」と女鳥王が答えている。実に堂々と。
そして、三首目はその女鳥王が速総別王に歌った歌。「素晴らしいあなた、あのちっぽけな天皇なんてやっつけて終いなさいよ」と過激なことを言っている。(鷦鷯は仁徳天皇の別名であり、小さな鳥の「ミソサザイ」のことでもある)
そして後の二首は天皇の軍によって倉椅山に追い詰められた二人、その心境を歌う速総別王の歌。「私の手にしっかり掴まってなさい。そうすれば大丈夫。このあとは辛いことしかないだろうけど、お前と一緒ならなんともないよ。」と言ったところだろう。
しかし結末は、この倉椅山を乗り越えて宇陀の「そに」というところに至った時に派遣された将軍に二人とも殺されてしまうということとなる。こうしたお話である。

ここで私が注目したいのは、この歌謡がこの話のために作られたのではないのではないかということだ。もっと言えばこの話も古事記のために創作されたのではないのではないかということだ。もともと仁徳天皇と弟の確執と権力争いはあっただろう。そして弟が廃されてしまうということもあったろう。これを古事記は別の伝承とこれまた別に伝承された歌謡を巧みに繋いで、一編の物語に仕立て上げたと思えるのだ。特に歌謡はそれぞれ独立して鑑賞できる。このことは古事記の別の部分でも言えることで、これを証明するのはそんなに難しい事ではないと思う。日本書紀にもこの話は出ているが、かなりテーストは違っている。女鳥王は影を潜め、速総別王が完全に悪者化して語られている。また、歌謡も一部変更されている。この点も証左となるだろう。
この歌謡と伝承とのセットは後の文学にも大きな影響を与えていると思う。平安期の歌物語がその典型である。これはまた取り上げる機会があるだろう。この辺で古事記については擱筆する。

2021 01.19

日本古典文学総復習続編1『古事記』その1

古事記を新潮社の古典集成本で再読した。
この新潮社の古典集成本の特徴はその傍注にある。傍注といってもほとんど口語訳である。そういう意味では分かりやすいが、字が小さいのが難点だ。
もう一つこの古典集成本の古事記には巻末に神の名の釈義が載っている。これは興味深い研究といえる。古事記を読むとさまざまな神が登場し、名前のみの場合も多い。そこで名前にどんな意味があるのだろうかと興味を惹かれるからだ。実に三百以上の神の名について分析している。
ここで神の名もそうだが、その表記法について触れなければならない。この本でも、読みやすさを考えて、漢字かな交じり文で表記されている。
しかし、これは後の時代のものだ。この本には載っていないが、かつて読んだ岩波の古典体系本、朝日古典全書本には、もとの表記も載っている。
一例を紹介する。

故、取此大刀、思異物而、白上於天照大御神也。是者草那芸之大刀也。故是以其速須佐之男命、宮可造作之地、求出雲国。爾到須賀地而詔之、吾来此地、我御心須賀須賀斯而、其地作宮坐。故、其地者於今云須賀也。茲大神、初作須賀宮之時、自其地雲立騰。爾作御歌。其歌曰、夜久毛多都 伊豆毛夜幣賀岐 都麻碁微爾 夜幣賀岐都久流 曽能夜幣賀岐袁

この部分の古典集成本の書き下し文は以下である。

かれ、この大刀を取り、異しき物と思ほして、天照大御神に白し上げたまひき。こは草なぎの大刀ぞ。
かれ ここをもちて、その速須佐之男の命、宮造作るべき地を出雲の国に求ぎたまひき。しかして、須賀の地に到りまして詔らししく、
「あれここに来て、あが御心すがすがし」
とのらして、そこに宮を作りて坐しき。かれ 、そこは今に須賀といふ。この大神、初めて須賀の宮を作らしし時に、そこより雲立ち騰りき。しかして、御歌を作みたまひき。その歌に曰ひしく、
八雲立つ 出雲八重垣
妻篭みに 八重垣作る その八重垣を

実はこの書き下し文は書籍によってかなり異なることも知っていなければならない。なお、上記の表記も岩波の古典体系本、朝日古典全書本では訓点が施されている。ということは基本的に本文は漢文だということだ。ただし、日本語独特な語彙は字音を使って表記されている。「歌」がいい例である。この日本最古の歌とされる「八雲立つ」の歌もそうである。日本書紀も同様なのだが、この字音表記の仕方が古事記の場合むしろ統一感があって、この辺りがこの古事記が実は後の時代にかかれたものではという偽書説の根拠になったりしている。また、万葉仮名と呼ばれる表記とも違っている。この問題は実に興味深いのだが、ここはこの辺りにとどめておきたい。むしろ内容が問題だからだ。この部分の口語訳も紹介しておく。実は古事記は研究者ならともかく、一般の読者は口語訳で読めばいいと思う。いろいろな口語訳が出ているが、ここは子供向けの古典叢書(講談社少年少女古典文学館)の、枕草子の名訳で名高い橋本治氏の訳を紹介しておく。

 スサノオの命が須賀の宮をつくり終えられたとき、豊かな大地の実りを約束するような、美しい雲が立ちのぼりました。「出雲」という土地の名にふさわしい、りっぱで美しい雲の群れでした。
その美しい雲の姿に感動され、そしてりっぱなお住まいをつくり終えられたことに満足されたスサノオの命は、そのお心を三十一文字の和歌にしてお詠みになりました。

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに
八重垣つくる その八重垣を

「妻籠み」とは、たいせつな妻をかくしておくという意味です。スサノオの命のお詠みになったこの歌は、わが国で最初の和歌とされているのです。

部分的に省略し、説明を加えてわかりやすくしている。
もし、もっと本文に忠実に行った口語訳が読みたければ、武田祐吉氏の口語訳がいい。青空文庫で公開されているし、電子ブックで読める。是非読んでもらいたい。
今回はここまでにしておく。内容については次の記事で。

2021.01.12

再びプリンタの話題

先日プリンタについて書いたが、再び書くことになったのは、例のメッセージがまた出て
動かなくなったからだ。
「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました。エプソンの修理窓口に交換をご依頼ください。」
というものだ。
実は前の投稿で書いた通り、なんとか修復したので、年賀状のシーズンになり、印刷をずいぶん行った。多分、200枚近く印刷した後だったと思う。

しかし、今度はどうにもならなかった。前に当てたプログラムは2度目は効かないということらしい。そこで怪しげなプログラムを当ててみようかと考えたが、これがなんとウイルスチェックにかかってしまうのだ。流石に怖いので諦めることにした。

そこで早速電気店に行き、プリンタを購入した。昨年のモデルで2万以下で売っていた。ポイントもあったので、1万以下で買えた。それはそれでいいのだが、どうしても言いたいことがある。

それはこのメッセージが出て、全く動かなくなってしまい、補充したばかりのインクが取り出せないという点だ。かみさんが友人にインクをあげたいというので、取り出しをここみたが、相当なことをしないと取り出せないようだったので諦めた。

そればかりか、このメッセージがいきなり出て、その後全く動かなくなるというやり方だ。事前に警告をだすべきだ。全くの不親切である。

また、インクの仕様を始終変更するというやり方だ。しかもそのインクが極めて高価だという点だ。

これはEPSONだけなのかな?どうにかして欲しいものだ。

日本古典文学総復習続編

昨年の8月に岩波の新日本古典文学体系100冊を1年半かけて通読した。
その後、明治文学全集100冊通読を試みようと考えていたが、思わぬ事態が生じて取り組めなかった。
それと自宅の書棚にはもう一つの古典文学全集が揃いであるので、そこもやらなくてはという思いもあった。
そこで、気分的にも余裕ができたので、そちらを優先して取り組むこととした。全82巻である。
しかし、以前取り組んだ岩波と当然重なる作品もある。調べたところ45作品が重なっていて、37作品は重なっていなかった。
これは意外な結果で、思ったよりずいぶん多かった。その編集方針にずいぶん違いがあるものだ。
ただ、岩波は以前に古典文学体系があるから「新」の場合はやや特殊な作品を取っている、ということもあるようだ。
さて、これから読もうとするのは以下の作品だ。
古事記
和泉式部日記・和泉式部集
大鏡
金槐和歌集
太平記1
太平記2
太平記3
太平記4
太平記5
山家集
和漢朗詠集
建礼門院右京大夫集
古今著聞集上
古今著聞集下
狭衣物語上
狭衣物語下
連歌集
御伽草子集
竹馬狂吟集・新撰犬筑波集
世阿弥芸術論集
無名草子
説経集
歎異抄・三帖和讃
芭蕉句集
芭蕉文集
好色一代女
日本永代蔵
好色一代男
世間胸算用
春雨物語・書初機嫌海
雨月物語・癇癖談
与謝蕪村集
浮世床・四十八癖
東海道四谷怪談
三人吉三廓初買
誹風柳多留
本居宣長集

さあどのくらい時間がかかるか。一応1年間で終えたいとは思っている。

今日はプリンタの話題

最近あまりプリンタを使っていないのだが、ある日以下のメッセージが出て動かなくなった。
「廃インク吸収パッドの吸収量が限界に達しました。エプソンの修理窓口に交換をご依頼ください。」
Epsonの複合機だが、なんとも不親切なメッセージではないか、動かなくなる前に警告があってもよそそうなものだ。
急ぎのプリントがある場合、どうにもならないではないか。

そこで、例によって色々とぐぐってみた。

まず、修理だが、これはお話にならない。時間がかかるし、金額もかかる。しかもこの機種はもう対応していないようだ。
要するに新しく買いなさいということらしい。

次に発見したのが、Amazonで見つけたこのエラーメッセージを解除するツールだ。1000円で売っている。
これはどういうこと?と思ってこのツールについてグッグッて見ると、このツールを使った動画に行き当たった。
ジャンク品で500円もしないプリンタを買って、このツールを使いこのメッセージを消した上で、廃インクパッドをキレイにするという手順を説明した動画だ。
このツールはメールで送られてくる手順書とワンタイムパスワードからなっているらしい。

これで判明したのだが、このエラーメッセージは廃インクパッドにセンサーがついていて表示されるものではなく、
プリント回数をカウントしていて、それがある一定の数値になると表示される仕組み、すなわちプログラムによってなされているということだ。
したがって、このプログラムのカウントを初期化してしまえばこのエラーメッセージは出ないことになる。
これが1000円で売っているツールというわけだ。一種のハックプログラムだ。
一時間以内にメールで送るとあるので、急ぎの人はだいぶ頼ったのではないだろうか。いい商売だ。自分も思わず購入しようかと考えた。

しかし、同様のツールを当のEpsonが出していたのだ。これはさらにググった結果だが、これなら安心だし、無料だ。
ただ、このツールを入手するにはマイEpsonに登録している必要がある。しかもやたらと注意書きがあって面倒なようになっている。
要するにEpsonとしてはこれはあくまでも一時的なツールで、修理に出すなり新しいプリンタを購入しなさいということらしい。
以下のサイトから入手できる。
https://www.epson.jp/myepson/mec/inkpad/inkpadtool.htm
ここで入手して、導入すると、このメッセージは出なくなり、プリントできるようになった。
さてこの後は廃インクパッドの清掃か、年賀状の季節の前にはやらなくては。

WordPressで管理者パスワードを再設定

ローカル環境でWordpressでユーザー名とパスワードを忘れるという事態になった。
昨日久しぶりにローカル環境のWordpressを立ち上げる必要になった。半年ぶりかな。
ところが何と管理者のユーザー名とパスを忘れているという事態になった。しかも開発当時のメモをなくしてしまった。
それと勘違いをしていたこともあり、サーバー上で運営しているこのブログと混同してしいたようだ。
最終的には事なきを得たが、その顛末を書き留めておく。
実際にこういう事態がないとも限らないからだ。

普通ユーザー名がわかっていて、パスだけ失念した場合は、メールで再設定ができる機能がある。しかしローカル環境ではそのメールが使えない。
一応メールアドレスは設定しているが、ローカルにメールサーバーがあるわけはないからこれはダメだ。
しかし、Wordpressのファイル群は手元にあるのだから、どこかに書いてあるはずだから何とかなると思っていた。
最終的にはデータベースにアクセスしてパスの再設定ができる。
データベースにアクセスするには色々と方法があるが、何と言ってもphpMyAdminを使うのが便利だ。
http://localhost/dashboard/でアクセスできる。
上のメニューの右端にphpMyAdminとある。
クリックするとパスを聞いてくる。これはデータベースの管理者とそのパスで、これはWordpressのファイル群の中のwp-config.phpで平文で読める。
開いたら左のデータベース名が並んでいる中のWordpressで使っているデータベースを開く。
その中にwp_usersというテーブルがあるはずだ。
それを開く(「表示」ボタンを押す)と、ユーザー名などが表示される。
しかし、ここで表示されるパスは暗号化されていてこのままでは使えない。変更が必要だ。
変更するにはチェックを入れて、「編集」を選ぶ。そうすると色々と書き換えられる。
しかし、パスはただ書き換えただけではダメで、必ず関数の欄でMD5を選択する。
その上で、右下の「実行」ボタンを押して完成だ。
できたら、XAMPPでRestartAllをして、
Wordpressにログインしてみて、できたらOKだ。やれやれこれに二日を要してしまった。最終的にはWordpressの公式マニュアルのお世話になった。
アドレスは以下だ。https://ja.wordpress.org/support/article/resetting-your-password/

それにしても忘れないように。

Canonの一眼レフをMacBookに繋いでWebカメラとして使う

今度はcanonの一眼レフをMacBookに繋いでWebカメラとして使うお話

MacBookには標準でカメラは付いているが、一連の流れで繋がったら面白いということでやってみた。
実はこの一眼レフ、娘が使っていたもので、何らかの不具合があって、しかも修理可能な期限を過ぎているということで置いていいたものだ。どうもレンズがおかしいらしくAFモードが効かない。そんなカメラでもWEBカメラとして使えたら面白い。当初はWIN環境でやろうと試みたが上手くいかなかった。しばらくしググっていると以下の記事に当たった。

「デジタルカメラをWebカメラとしてMacで使おう!HDMIキャプチャなしで!」 オンラインソフトで試してみた
林 佑樹2020年4月30日 07:30
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/review/1249674.html

以下はこの記事に従ってやってみたことだ。

先ずは以下の二つのツールのインストールから始める

・Camera Live v002
・CamTwist 3.4.3

ただ、この「Camera Live v002」の導入は面倒だ。

https://github.com/v002/v002-Camera-Live

にあるというが、インストールパッケージがなく、よく読むと(英語ですが)

You can download the app from the releases page.

という記述があり、リンクが張られていた。

https://github.com/v002/v002-Camera-Live/releases

そこにある

 Build 11
 @bangnoise bangnoise released this on 31 Jan · 10 commits to master since this release
 Update Canon SDK to fix issues with support for macOS Catalina, and adding support for another camera
 Assets
 3
 Camera.Live.zip
 1.6 MB
 Source code
 (zip)
 Source code
 (tar.gz)

 Camera Live.app

という記述から「Camera.Live.zip」をダウンロードし展開する。

もう一つの

 ・CamTwist 3.4.3

は以下からインストールイメージをダウンロードできる。

      http://camtwiststudio.com/download/

 CamTwist_3.4.3.dmg

使い方

使い方はまずCamera Live.appを立ち上げて、一眼レフカメラをUSBで接続する。
(ここでカメラをリモートモードにするべきとあったが、そんな機能が古いCannon kissにはないので、全自動モードをやめてPモードする)
するとカメラを認識して、上部の表示がActiveになればOKだ。

今度はCamTwistを立ち上げて以下の設定をする。

左側の Select a video source で Syphon を選択して、 selectボタンを押して、
右側のSettingでCamera liveを選択する。

command+Pを押すと小画面が現れて、WEBカメラとして機能していることがわかる。

あとは他のツールで使えるかどうかだが、とりあえずライブ配信ソフトOBSでは動作確認した。
このソフトについてはまた別の記事で書く。